運動前のカフェインは?

カフェインの効果は?

カフェインについてはさまざまな情報があり、賛否両論の意見があるようですが、筋肉づくりについては実際にどう役立つのでしょうか?
カフェインは広く研究されている物質のひとつで、エネルギー生成能力を高める作用を持つことが実証されている。
その効果は摂取してから短時間で得られるので、カフェインは脂肪燃焼や体熱産生、エネルギー強化を目的とするサプリメントの多くに使われている。
人間を対象にした臨床研究は膨大な数におよび、一般にも広く利用されているが、それでも適切な知識は広まっていないようだ。安全性を理由にカフェインを利用すべきでないという人もいるが、適度に摂取するかぎり、安全面での問題はない。
一方、カフェインのプラスの効果については多数の報告があるが、特に筋肉づくりに関しては、以下の作用があげられる。

●筋収縮を強化
カフェインは筋肉に直接的に作用し、筋肉内の筋小胞体といわれる部分からのカルシウム・イオンの放出をうながす。これによって、より強い筋収縮が得られ、より大きな力を発揮できるようになる。

●脳の働きを高める
神経系の働きを抑制するアデノシンという物質があるが、カフェインはこのアデノシンの受容体(レセプター)の作用を阻止して、アデノシンが働かないようにする作用がある。この作用によって集中力が高まり、ワークアウトをより効果的に行えるようになる。
つまり、より大きな成果へとつながるというわけだ。

●体脂肪減少を促進
カフェインを運動前にとると、グリコーゲン(炭水化物が体内で貯蔵されるときの形態)をエネルギー源として使う働きが抑えられ、代わりに脂肪がより多く使われるようになることが、研究で認められている。
カフェインの作用によって、貯蔵脂肪(体脂肪)を遊離脂肪酸の形に変えて血中に送り込み、グリコーゲンではなく脂肪をエネルギー源として使う働きがうながされるようになるのだ。
その結果、強度の高い運動をより長時間続けられるようになるとともに(より長時間にわたってエネルギーを補給できるので)、脂肪をより多く燃やせるようになる。つまり、体づくりの2つの目標(より多くのエネルギーを利用しながら運動することで、筋肉をつくることと、脂肪をより多く燃やして体脂肪を落とすこと)が同時に達成できるわけだ。

カフェインが体脂肪減少に役立つもうひとつの理由として、脂肪細胞にあるアデノシンの受容体の作用が阻止されることもあげられることは前述した。
そのアデノシンには脂肪細胞(貯蔵脂肪)からの脂肪酸の放出を抑制し、脂肪の貯蔵をうながす作用もあるが、カフェインの摂取によってこの働きが阻害され、逆の現象(脂肪酸の放出と脂肪燃焼)が促進されることになるわけだ。

ただし、カフェインは神経系への興奮作用を持つ物質なので、摂取による体の反応には個人差があることを頭に入れておこう。一般的には1回に200〜400mg(訳注:コーヒーでとる場合は、ドリップ・コーヒー240ml中に約200mg含まれている)をとることがすすめられるが(ワークアウトの45分前に)、体の反応を見て、最適の摂取量を見つけるようにしよう。胃に何も入っていない状態でとるほうが、食事といっしょにとる場合よりも、カフェインの作用がすぐに、またより強く現れる。
ただし、人によっては刺激が強すぎて胃に軽い不快感を引き起こすこともあるので、注意が必要だ。