食の豆知識|果物類

くだものの効用

毎日くだもの200グラム運動って?

「国民の健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保」を図るため、平成12年に当時の政府が「食生活指針」を策定。それを具現化するものとして、平成17年に「食事バランスガイド」が策定されました。
この中で、果物は野菜と同様に毎日食生活に必須な食品と位置付けられ、適量を欠かさず摂ることがすすめられています。
もともと果物には生活習慣病の予防効果がある成分が多く含まれており、日ごろから果物を食べることで病気の予防と健康な生活の維持効果が認められています。
「食事バランスガイド」では、1日に適量として果物は2つ(2サービング)としています。みかんなら2個程度でおよそ200gです。
「毎日くだもの200グラム運動」とは、日本の果物消費量が非常に少ないという現状から、当面の目標として実現可能であること、覚えやすい数値であることを重要と考え、1人1日当りの果物摂取目標量を「200g以上」としているものです。
※ただし、これは摂取量の少ない人を念頭においた目標量であって、200g以上食べている人に摂取量を制限するものではありません。

日本人はどれくらい果物を食べているの?

FAO(国連食糧農業機関)の統計では、日本人1人当りの年間果物摂取量は先進国の中で最低クラスで、米国に比較し約半分。
日本では果物は主にデザートとされているのに対し、欧米では野菜感覚で日常的に摂取されている、という食文化の違いが大きく影響しているようです。
平成24年度の国民健康・栄養調査では日本人の1日の果物の摂取量は約110g程度ですから、まだまだ目標量には及ばないことがわかります。手軽に果物が取れない時、フルーツジュースを利用するのもひとつの方法ですね。

果物を食べると太りやすい?

果物には果糖が多く含まれており、その甘さのために肥満や糖尿病などをひきおこすと考えている人も多いようですが、通常の食生活で摂取するレベルでは問題ないとされています。

果物を食べると何がいいの?

生活習慣病予防の観点からも摂取が推奨されている果物ですが、果物の摂取と健康の関係についていくつか挙げてみました。
がん
世界がん研究基金と米国がん研究財団のかかげる「国際がん予防14か条」の中では果物の摂取が提言されています。
これらは食物繊維による発がん物質の体外排泄の促進や、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールによる活性酸素の除去による効果などが期待されていることによります。
また近年温州みかんに多く含まれるβ-クリプトキサンチンは、動物試験でがんの抑制効果が認められています。
動脈硬化
果物に豊富に含まれるカロテノイドやポリフェノールなどの抗酸化物質は血管内で活性酸素を除去する働きがあるため、悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果があるといわれています。またりんごのペクチンに代表される食物繊維群も、コレステロールや脂質の吸収・沈着を抑え血管の老化を予防する働きがあります。
高血圧予防
高血圧を予防するためには一般にはナトリウムの摂取を抑え、カリウムを多く摂取する必要があります。
果物はナトリウムが少なく、カリウムが多い食品の代表であり、高血圧の予防効果が認められています。
心臓病・脳卒中予防
米国医師会雑誌(JAMA、1999.10.6発表)では、グラス1杯のオレンジ、またはグレープフルーツジュースを飲むことで、心臓発作・脳梗塞のリスクが25%低下する場合があると報告されています。
また米国ではグレープフルーツの果実や果汁製品でハートマークをつけて販売されているものがあります。このハートマークは心臓を守る食材であることを、アメリカン・ハート・アソシエイション(心臓病関連の任意団体)に認定されている、ということを示すものです。
これも、カリウムが心臓や筋肉の正常な収縮を助けること、ビタミンCが血管の強化に働くことなどが背景となっているようです。

果物・成分別に注目!

果物の摂取と健康の観点から、成分別に見てみました。
注目される主な栄養成分 果物
ポリフェノール ぶどう、みかん、りんご、かき、もも
食物繊維 りんご、かき、もも、キウイ、いちご、びわ、すもも、夏みかん
ビタミンC かき、キウイ、かんきつ類、いちご
ビタミンE ぶどう、みかん、りんご、かき、もも
カリウム 果物全般